今回は「病理学」の国試対策を書いていきます。
どのような流れで勉強を進めるのがおすすめなのか、という内容がメインです。
臨床検査技師国家試験の中でも「病理学」は点数の配分が高い分野のひとつです。それだけに、出来るだけ早いうちに解けるようになっておきたい科目です。
覚えるべき内容も多いため、私も学生の時に苦労した記憶があります。そのため、漠然と学習するよりも優先順位をつけて勉強していくことが大事だと思っています。
最重要な2項目
まず、国試に受かる上で落としたくない項目が2つあります。それが「染色法」「画像問題」です。
どちらも毎年一問は出題されている印象があります。そのため、この2項目については早いうちから重点的に勉強しておくと、成果が出やすいと思っています。
染色法は含まれる成分まで覚えたい
「染色法」で必ず覚えておきたいことは2つあります。
まずは「染色対象」です。たとえばPAM染色なら糸球体基底膜、azan染色なら膠原繊維などです。
どの染色法が何を染めるのかはとても大事なポイントです。基本的な内容ではありますが染色法は数が多いため、勉強したつもりでも意外と忘れがちになります。そのため、病理学の国試対策を始めるなら、最初のうちから手をつけておくことがおすすめです(私も学生の時は反復記憶で覚えました)。
また、国家試験では染色対象が同じ染色法を選択肢にいくつか用意しておいて、こちらを迷わせることが多いイメージがあります。その対策として、それぞれの染色法の特徴を覚えることも必要です。
たとえば糸球体基底膜を染める方法には、PAM染色やマッソントリクローム染色などがあります。これらの染色法を見分けるために、各染色法の特徴を覚えておかなければいけません(マッソントリクローム染色なら鉄ヘマトキシリンが含まれるので核が黒い)。
染色において必ず覚えておきたい項目2つ目は「染色液に含まれる成分」です。
国家試験でも「この染色法に含まれている成分は何か?」といった内容の問題がよく出題されています。こちらも覚える量が多いですよね。
気合いで覚えることも必要ですが、いくつかの染色法は名前から推測することもできます。学生時代はHE染色、azan染色などはこの方法で覚えてました。
HE染色=H:ヘマトキシリン、E:エオジン
azan染色=az:’アゾ’カルミンG、an=’アニ’リン青
国試対策では、ゴロ合わせを使っていくこともおすすめです。
画像問題は過去問や模試で慣れていく
画像問題も毎年出題されている印象があります。私が受験した年にも出題されていました。
主に「染色・臓器」と「細胞診」に関連した問題が多いですね。
染色に関連した問題では、臓器の写真を見せられることが多いです。そのため、臓器ごとの特徴を覚えておく必要があります。この点に関しては、過去問や模試を数年分解くことで見て覚えていくことも効果的だと思います。そして、臓器ごとの特徴を目で見て覚えることが大事です(肝臓なら肝小葉がありますね)。
また、臓器ごとに特徴的な染色があります。すでに何度か書きましたが、PAM染色は糸球体を染めることが特徴的です。
まずは臓器の写真を見て「この臓器なら⚪︎⚪︎染色を使うな」「この臓器特有の構造は⚪︎⚪︎だ」という内容が頭に浮かぶことを目標にして勉強していくと、病理の問題も解きやすくなると思います。
画像問題では「細胞診」に関する問題もよく出ています。
こちらは、まず基本的な形態を覚えるのがおすすめです。たとえば扁平上皮癌ならパパニコロウ染色でオレンジ色に染まるペラペラした細胞が特徴的ですよね。最初は扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌などについて、それぞれの細胞に特徴的な部分を覚えていくことが大事だと思います。
勉強の進め方
病理学の勉強の進め方についてです。
まず、国試対策を始める時期です。
国試対策は、早い人だと国家試験2年前には始めていると思います。ただ、国家試験の1年前にあたる最終学年に入ってから、という人も多いです(私も4年次の4月から始めました)。
大学・専門学校の入学後からコツコツと勉強していれば、国家試験対策を始めるのは最終学年の4月からでも遅くないと思います。
また、国家試験対策の中で、病理学は比較的時間がかかる分野です。覚える内容が多く、範囲も広いです。教科書もかなり分厚いですよね。そのため、国家試験対策を始めるなら、病理学は最初のうちから触れておいた方がいい分野だと思っています。
染色は反復記憶で覚えるのもおすすめ
病理学の中でも「染色」は重要だと思っています。国試でも毎年のように出題されていることがその理由です。
染色法は数が多く、染色液に含まれる成分や染色対象など、覚えることがとても多いです。短期間で覚えようとするのはなかなか難しいです。
そのため、染色については早いうちから勉強を進めておいて、何度も繰り返し触れることで記憶を定着するという方法もおすすめです。過去問集を何周もする、模試をいくつか受けたりすることで、染色の問題にも繰り返し触れることができます。
ただ、覚えにくい箇所も多くあると思います。そんな時は、表を作ったりして、自分なりにアウトプットする作業をすることが効果的でおすすめです。
銀染色も数が多いので、表を作ってまとめて覚えるのも一つの方法です。そして、何も見ずにその表を書けるようになれば、自分の頭の中に入っている証拠なので、試験でも解けるようになると思います。
過去問をベースに周辺知識を入れていく
病理学に限った話ではありませんが、国家試験対策では過去問を繰り返し解くことが重要です。似たような問題が毎年出題されていることがその理由です。
過去問を解くといっても、ただ答えられるだけでは意味がありません。いわゆる「裏回答」を答えられるまで解けるようになるのがベストです。
病理学だと、たとえば解剖学で臓器の重量を答える問題があると思います。その際、選択肢にない臓器の大まかな重量も頭に入れておくと、本番でも役立つはずです。選択肢が全く同じ問題は、本番ではおそらく出ません。しかし、それぞれの臓器の重量を覚えていれば、消去法で正答を選ぶこともできます。
この問題に限らず、過去問にある問題の周辺知識を頭に入れていくことが、国試対策では大事だと思っています。ただ、最初から全て覚えようとすると、頭がパンクしてしまいます。
そのため、まずは選択肢にある用語・内容について自分の言葉で説明できるようになることが大事です。また、正答以外の選択肢がなぜ不正解なのかを何も見ずに説明できる必要があります。
病理学の勉強は早めから
覚える内容が多い「病理学」なので、早めに勉強を始めておきたい教科です。最終学年の4月には始めておけるとベストだと思います。
中でも「染色」は内容も濃く出題頻度も高いので、優先的に勉強を進めておくのがおすすめです。そうすることで、秋に行われている模試でも結果が出やすいと思います。
病理学では一つ覚えても他に覚えなければならない内容が出てくるので、最初のうちは試験でもなかなか結果が出にくいと思います。ただ、コツコツ時間をかけて勉強を続けていけば、自分の知っている内容が試験で出題されることが増えてくると思います。その繰り返しで、本番でも点を取れるようになるはずです。
病理学は教科書も分厚く覚えることが多い教科なので、長期戦になります。そのため、早いうちから対策を進めることが重要です。