医療の分野で主に検査の仕事を行う「臨床検査技師」。国家資格の取得が必要な職業です。大学や専門学校を卒業し、国家試験に合格することで資格を得ることができます。
そして、国家試験の勉強の傍ら進めなければならないのが「就職活動」です。大学院などに進まない場合は、多くの人が国試対策と就活を並行して進めることになります。
今回は、そんな臨床検査技師の就活について書いていきます。
「そもそも就活は難しいのか?」
「就活で気をつけることはある?」
「国家試験の勉強と両立するにはどうすればいい?」
これらの内容を、私が新卒で就職活動していた時期の経験をもとに解説していきます。
就活の難易度は病院の規模によって違う
まず「就活の難易度」についてです。これは、受ける施設の規模によります。また、病院と企業によっても異なります。今回は病院の場合に絞って、就活について書いていきます。
大きく分けると「大規模病院・大学病院」と「中小規模の病院」といったイメージになります(ここでいう大規模病院は、病床数が500床以上のイメージ)。
大規模病院・大学病院は経験を積みやすく人気がある
大規模病院や大学病院は、応募する人が比較的多いです。理由は人によると思いますが「さまざまな症例に触れることができ経験を積みやすい」「待遇がいいところも多い」といった点に惹かれて応募する人が多い印象を受けます。
特に新卒で就職する場合、就職してからたくさん経験を積みたいと考える人が多いです。多くの経験を積むことができれば、仮に転職することになってもその経験が自らの強みとなります。経験を積むことを重視すると、検体数・患者数の多い大規模病院が最適といえます。
そういった理由もあり、大規模病院は人気がある施設が多いです。私も似た理由で、今働いている病院を選びました(比較的規模の大きな病院です)。
人気のある病院が多いため、大規模病院は就活も難しめになります。そのため、しっかりと対策をすることが大事だと思います。
具体的には「筆記試験」と「面接」の対策です。
応募者が多数いる病院では、面接の前に筆記試験を設けている施設も多いです。この筆記試験の内容は病院により異なりますが、国試と同じような内容を聞いてくる「専門試験」は多くの病院で行われています。それに加えて一部の施設では、英語の試験や企業の就職試験でも行われる「SPI」などの試験も行なっています。
これら筆記試験の対策は、前もってテスト勉強しておくしかありません。ただ、専門試験については国試と同様の内容なので、就活する年度の春あたりからコツコツと国試の勉強をすることが一番の対策だと思います。
目安として、9月に行われる医師薬模試で120点近く採れていれば、専門試験対策は問題ないと思います。
また、SPIなど一般試験については、試験のちょっと前に過去問を解くなどの対策が効果的だと思います。特にSPIについては過去問集も販売されており、それを使って対策している人もいます。
SPIなども試験に含まれる場合は、1ヶ月前ぐらいには過去問などで対策を始めておくと安心ですね。
続いて面接対策です。こちらは大学などのキャリアセンターを利用するのがおすすめです。そこで模擬面接を数回行ってもらいフィードバックをもらった上で面接に臨むと、本番でも実力を発揮しやすいです。
面接は面接官との相性もあるため、倍率の高い施設(大規模病院)だと難易度は高めです。そのため、面接前は「上手くいったらラッキー!」ぐらいに思っておくと緊張が少し和らぐと思いますよ。
中小規模の病院は難易度が下がるところも
続いて中小規模の病院についてです。こちらは大学病院などと比べると、倍率は下がることが多いです。そのため、難易度はやや下がるといえます。
ただ、人気のある病院と比べると待遇が少し劣ってしまう施設も中にはあります。そのため、受ける時には求人票をチェックしたり、学校のキャリアセンターの人に聞く、そして病院見学にも行って下調べをしっかり行うことが重要です。
就活前半は人気のある病院に挑戦するのもおすすめ
臨床検査技師の新卒の求人は、6月あたりから増え始めます。そこから12月ぐらいまでに内定をもらえると、安心して国試の勉強もできます。
約半年ぐらい期間がありますが、前半にあたる10月あたりまでは倍率が高くなりそうな施設も積極的に受験してみるのがおすすめです。そして、年末が近づいてきたら少し難易度の低い施設も受けてみるという流れがスムーズだと思います。
大事なのは、早いうちから妥協しないことです。苦労することもありますが、就活の前半期間(夏ぐらいまで)は自分が働きたいと思える病院を受けることが大切だと思います。難易度が高かったとしても受験しておけば、あとで後悔することは少ないはずです。
また、就活を早く終わらせたくて、早いうちから妥協して自分の希望に合わない病院の内定をもらうのは、あまり得策ではないと思います。自分があまり行きたくなかった職場で毎日働くのは、とても大変なことです。新卒で入社するなら、出来るだけ自分の納得のいく病院に入社した方が、働き始めてからもストレスが少ないです。
就活で気をつけること【注意点】
病院志望の場合、注意すべきポイントは「病院についてしっかり調べておく」ことです。その理由は2つあります。
一つ目の理由は「面接で役立つ」からです。
面接の際は、多くの病院で志望動機を聞かれると思います。その時に、その病院ならではの特徴・理念を盛り込んだ志望動機を言えると、印象も良くなるはずです。
面接で役立つ内容の調べ方はいろいろありますが、病院のホームページに一通り目を通してみるのもおすすめです。しっかりとアンテナを立てて見てみることで、面接の時に使えそうな内容を見つけられたりしますよ。
また、見学の機会があればその際に気になる点は質問しておき、そこで得られた情報を面接で使うのもおすすめですよ。
病院をしっかり調べておくべき2つ目の理由は、「入社してからのモチベーションに影響する」からです。職場の雰囲気をある程度把握しておいた方が、入社してからギャップを感じにくく、モチベーションの低下を防ぐことができます。
職場の雰囲気を把握するという点で、病院見学に行っておくことはおすすめです。見学に行くことでどんな雰囲気の検査室なのか把握でき、入社してから自分に合わなかったと感じにくくなると思います。
就活と両立するために早めから国家試験の勉強は進めておきたい
最終学年になると、就活と国試対策の両方を進めなければいけません。それに加えて、卒業研究や病院実習も入ってきたりします。とても忙しいですよね。
そのため、国家試験の勉強は早いうちから進めておくのがベストです。具体的には最終学年の4月には始めておきたいです。そして、9月にある医師薬模試で120点を採れるぐらいに仕上げておくと、秋冬シーズンでも就活を並行して進めることができます。
就活は就職試験までに準備することがたくさんあります。病院見学に行き履歴書を書き、面接対策もしなければいけない。この作業は意外と時間がかかるので、就職試験直前になると国家試験の勉強をする時間もなくなってしまいます。
そういったこともあるので、国家試験の勉強が早めに進めておいて、就活シーズン(夏〜秋ぐらい)は勉強に割かなければいけない時間を減らせるようにしておくことがおすすめです。
就職すること自体は難しくないイメージ
厚生労働省のホームページで調べてみると、臨床検査技師の有効求人倍率は1.79(令和4年度)となっていました。求人は少なくないので、就職すること自体はそこまで難しくないイメージです。
ただ、受ける病院によって難易度に差がある印象です。特に大規模病院は受験する人が多く、その分倍率も高くなっています。また、春〜夏は受験者数も多いため、その時期も倍率は高めになっている印象があります。しかし、冬頃になるとすでに内定をもらっている人が増えるため、その分受験者数も減り倍率は低くなっていくと思います。
臨床検査技師の新卒の就活には、以上のような傾向があります。そのため、春〜夏あたりは「受かればラッキー」ぐらいの気持ちで割り切る必要もあると思います。そして、仮にその時期に内定をもらえなかった場合は、ちょっとずつ倍率の低そうな施設も受けていくといった戦略もありだと思います。
最初は倍率が高くても自分の行きたい病院を積極的に受験し、秋ぐらいになっても内定がもらえなければ、倍率を少し落とした病院も視野に入れていくという流れで就活を進めると、自分でも納得できる就活になると思います。