医療職の中でも主に検査を担当している臨床検査技師。他職種と比べて、あまり表に出る機会もないので、仕事内容がイメージしづらい職業だと思います。
そこで今回は、病院で勤務している僕自身の経験をもとに、臨床検査技師の仕事内容を1日のスケジュールに沿って紹介していきます。そして今回は多くの病院に共通する内容である検体検査(病理検査・生理機能検査以外)に絞って紹介します。
また、後半では僕が所属している微生物検査の1日の流れも書いていきます。
臨床検査技師を目指している方なども参考にしてみてください。
1日のスケジュール(検体検査)
病院の検体検査は「生化学・免疫・血液・輸血・尿一般」の部署に分かれている場合が多いです。
それぞれ少しずつスケジュールは異なりますが、今回はそれら検体検査に共通する大まかな流れを書いていきます。
朝:コントロール測定〜検査開始

朝は8時30分から業務開始の病院が多いです。
まずコントロールの測定(精度管理)をします。ここで正しい結果を得られれば測定する機械に問題ないことが保証されるため、1日の検査を開始できます。
「コントロール」はあらかじめ濃度や陽性・陰性が分かっている試料のこと。コントロールを測定して結果が基準値に収まっていれば、その後に測る検体の結果も正しいことが保証されます(いわゆる精度管理)。
仮にコントロールの結果が基準値から外れていた場合は、再測定や機械のメンテナンスなどの対応が必要になります。現在は検査の機械化が進んでいるため、コントロールの測定(精度管理)は検査技師の重要な仕事の一つです。
また、早番を設けている病院もあります。早番の人はいつもより早めに出勤(7時ぐらい)して、機械の立ち上げや当直機と日勤で使用する機器の切り替えなどを行います。
早番の人は早めに出勤する分、早めに退勤できる病院が多いです。
午前:検体測定・採血

午前中の主な仕事は検体の測定です。
病院だと外来の患者さんは午前中に多く来院するため、検体も午前に集中します。そのため、午前はひたすら検体を測定します。
そのほかに、各部署ごとの仕事を行います。例えば輸血検査であれば、血液製剤の払い出しや発注などですね。
また、採血も行っています。
病院によって採血のシフトはさまざまですが、外来患者の多い午前中は人手が足りなくなることが多いです。そのため、検体検査を担当する検査技師も、午前は採血をすることがよくあります。
お昼:コントロール測定・休憩
コントロールの測定は毎日複数回行います。各部署により回数は異なりますが、朝・昼・業務終了時の3回は測定することが多いです。
お昼にコントロールを測定することで、午前中の検査結果が正しいことを保証できます。
また、これぐらいの時間でお昼休憩に入ります。
午後:メンテナンス・ロット間差など
午後は検体測定も落ち着いてくるので、空いた時間で機器のメンテナンスや事務的な作業も行います。
「ロット間差」も重要な作業です。これは検査に使用する製品が新しいロットになった時に正しい結果が得られるかテストする作業です。
ISO15189の認定を受けている検査室だと、書類作成(SOPや記録など)もたくさん行わなければいけません。大きな病院だと認定を受けている場合が多いため、事務的な作業が増えやすいです。
また、数年に一回ISOの審査が入るため、その前後は作業も多くバタバタしがちですね。
そして業務終了時に最後のコントロール測定をして、1日の作業が終わります。
微生物検査の1日の流れ

例として「微生物検査」の1日も簡単に紹介していきます。
・朝:温度の記録
・午前:培養した培地の確認・薬剤感受性
・午後:提出された検体の培養
微生物検査の主な仕事は薬剤感受性・同定です。
「薬剤感受性」は抗菌薬がその菌に対して効くか、「同定」は菌種を調べる検査です。
微生物検査で難しいポイントの一つが、培地に発育した菌のうちどれを検査するか選ぶことです。菌のコロニー(培地での生え方)を見て判別しなければいけないため、出来るようになるにはある程度経験が必要になります。
また、微生物検査は時間のかかる検査でもあります。
細菌は培地に塗ってから最低でも1日経たないと発育しないため、検査が終了するのに早くても2日はかかります(一つの培地にいくつも菌が生えていると1週間以上かかることもあり)。
経験が必要で検査してもすぐに結果が出るわけではないため、難しいと感じることもよくあります。
ただ、細菌それぞれに特徴があり検査していても様々な菌種に出会うことができ、奥深い分野でもあります。勉強のしがいがある分野だと感じます。
【まとめ】検体測定・採血がメインの仕事
病院で働く臨床検査技師は「検体測定」と「採血」が主な仕事になります。どちらも午前中が特に忙しく、午後になると落ち着いてくる場合が多いです。
午後は空いた時間で事務作業なども行います。
現在は検査の機械化も進んでいます。そのため、機器のメンテナンスをする機会も多くなっています。
また、病院の規模が大きいほど検体数も多くなるので忙しくなる傾向にあります。施設によっては残業になることもあるので、これから病院選びをする際は気にしておくべきポイントですね。
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